記帳代行を受けるなら、まず「最低ライン」を決める|契約書の押さえどころも【行政書士が解説】
こんにちは。松原市で行政書士をしておりますレガート行政書士事務所の秋月です。
先日、記帳代行をされている方から、業務委託契約書のご相談をいただきました。お問い合わせが増えてきたので、きちんと契約書を作りたい、というお話でした。
私も記帳代行の仕事をしています。ご相談にのりながら、自分の契約書や報酬の考え方も見直すことになりました。その中で、あらためて思ったことがあります。
記帳代行という仕事は少し足元を見られがちかもしれません。だからこそ
契約書を作る前に、自分の「最低ライン」を決めておくことが大切、ということです。
記帳代行は、先に「最低ライン」を決める
記帳代行の仕事を受けるとき、いちばん悩むのが報酬ではないでしょうか。安すぎると続かないし、高すぎると頼んでもらえない。フリーランスならではの、切実な悩みだと思います。
そこで、おすすめなのが、「これより安いなら受けない」という線を、先に決めておくことです。
この線があると、値引きを頼まれたときも、迷わずに答えられます。逆に、決めないまま受けてしまうと、仕事が増えるほど「割に合わないなあ…」と感じやすくなります。
記帳代行の最低ラインの決め方
- まず、「これより安いなら受けない」という線を決める
- 次に、相場を調べて、自分の線と比べる
- 最後に、決めた金額で続けられるか、時給から逆算して確かめる
時給は、次の式で出せます。
時給 = 1仕訳の単価 × 1時間に処理できる仕訳数
たとえば、1時間に40仕訳できる方なら、1仕訳100円で時給4,000円、50円なら時給2,000円です。
自分が「この時給なら続けられる」と思える線から、逆算してみてください。
最低ラインを守るために、契約書がある
最低ラインを決めても、契約書がないと、あとから崩れやすくなります。
「この作業も、お願いしたいんですが」
「思ったより、仕訳が多かったです」
こんなふうに言われたとき、契約書で範囲や数え方を決めておけば、金額の話をしやすくなります。契約書は、自分の最低ラインを守るための、お守りのようなものです。
記帳代行の契約書は、軽くても大丈夫
契約書は、お互いに結びたいものです。ただ、分厚くて重いものは、お客様にも負担になります。
私は、2ページに収まる形にしています。短くても、大事なところを押さえておけば、十分に役に立ちます。
記帳代行の契約書で、決めておきたい5つのこと
- 業務の範囲(どこまでをお受けするか)
- 仕訳数の数え方
- 準委任契約であること
- インボイスの登録状況
- 契約期間と解約
どれも、あとから「そんなつもりじゃなかった」となりやすいところです。
記帳代行の契約書で、業務の範囲をはっきり書く
いちばん大切なのは、業務の範囲です。
記帳代行だけをお受けして、税務相談や税務書類の作成は含めない、とはっきり書いておきます。税務相談は税理士さんの業務なので、記帳代行の契約書の中で、線引きをしておくことが大切です。
「どこまでお願いできるのか」を、お客様にも先に伝えておくと、あとのやりとりがスムーズになります。
仕訳数の数え方で、金額は変わる
記帳代行は、仕訳の数で金額が決まることが多いお仕事です。そのため、「何をもって1仕訳とするか」を決めておかないと、揉めやすくなります。
私は、「会計ソフトに登録した取引1件=1仕訳」と決めています。領収書の枚数ではなく、登録した取引で数える形です。
数え方ひとつで、請求の金額が変わります。契約書に書いておくと、お互いに安心です。
記帳代行の契約は「準委任契約」で
記帳代行は、成果物の完成ではなく、業務を行うことに対して報酬をいただく形になります。このような契約を、準委任契約といいます。
契約書の中でも、「準委任契約であること」をはっきり書いておくと、契約の性質が伝わりやすくなります。
インボイスの登録状況を、先に確認する
自分も、お相手も、インボイスの登録をしているかどうかを、先に確認しておきます。
登録していない場合は、報酬を税込にしておくと、請求書の書き方もシンプルになります。
契約期間と解約を決めておく
契約期間を決めて、自動更新にしておくと、更新のたびに手続きをしなくて済みます。
あわせて、解約するときの通知期間も決めておきます。辞めるとき、辞められるときのルールが決まっていれば、お互いに慌てずに済みます。
訪問での打合せや、交通費も書面に
お客様のところへ訪問して打合せをする場合は、交通費の扱いも決めておくと安心です。
- 交通費を請求するのか
- 請求するなら、どのような形で請求するのか
- 契約前の打合せと、契約後の訪問で扱いを分けるのか
「当たり前だと思っていた」ことが、お互いにずれていることもあります。後から言い出しにくいところなので、先に書面にしておくのがおすすめです。
準委任契約の印紙と、電子契約
準委任契約は、請負や継続的取引の基本契約など、印紙税の対象として決められている種類には含まれないことが多いです。ただ、契約の中身によっては課税されることもあります。心配なときは、税務署や税理士さんにご確認ください。
そして、電子契約なら、印紙税の対象にならないとされています。印刷や郵送の手間もありません。
たとえば、クラウドサインは、2026年10月現在、月2件までなら無料で送信できます。フリーランスの方には、使いやすい方法だと思います。
まとめ:最低ラインを決めて、契約書で守る
記帳代行を受けるときは、次の順番で考えてみてください。
- 「これより安いなら受けない」という最低ラインを決める
- 相場を調べて、時給から逆算して確かめる
- 契約書で、範囲・数え方・期間・インボイスを押さえる
- 契約は、電子契約で気軽に結ぶ
ご相談にのりながら自分の契約書も見直してみて、「何となく決めていたこと」がはっきりしました。契約書をつくることは、自分のお仕事の進め方を整理することでもあります。
よくいただくご質問
- 記帳代行の契約書は、必ず必要ですか?
契約は、書面がなくても成り立ちます。ただ、業務の範囲や数え方など、あとから揉めやすいところが多いお仕事なので、書面にしておくのがおすすめです。
- 税務のことを聞かれたら、答えてもいいですか?
税務相談は税理士さんの業務です。記帳代行の契約書では、税務相談や税務書類の作成を含めないことを、はっきり書いておくと安心です。
- 準委任契約だと、印紙は必ずいりませんか?
契約の内容によって変わります。迷うときは、税務署や税理士さんにご確認ください。電子契約にすれば、印紙税の対象にならないとされています。
契約書づくりのご相談について
レガート行政書士事務所では、記帳代行などのお仕事をされているフリーランスの方向けに、お仕事に合わせた契約書の作成と、手持ちの契約書のチェックをお受けしています。電子契約での締結のサポートもしています。
「何から決めたらいいかわからない」という方は、LINE公式アカウントまたはHPの問い合わせフォームから、お気軽にご相談ください。